2023年の1年間で世界で作られた靴は、224億足との事です。
そしてその95%が、リサイクルされずに捨てられているらしいです。
たしかに他のプロダクトと違って、靴って「消耗品」である事は否めないので、長く使い続ける事自体は難しいなと感覚的に思います。

靴って色々な目的で使いますよね。
例えば、仕事に履いていく靴、ファッションとしての靴、スポーツする時の靴。
目的によって安全性だったり、耐久性だったり、修理にしやすさだったり、変わってきます。

今回はその中でもスポーツシューズ。さらに言えばランニングシューズで、アシックスのNIMBUS MIRAIというシューズです。

NIMBUS MIRAI™オフィシャルサイト

株式会社アシックス プレスリリース

株式会社アシックス コーポレートサイト

このシューズは「リサイクルのしやすさ」を追求しています。
そこで大きく2つの下記の特徴があります。

  • 素材の種類を極限まで減らす事
  • 回収しやすい事

この2つのうち、どちらかが欠けていては「リサイクルのしやすい」状況になりません。
2つがそろって初めて「リサイクルしやすい」状態になります。

まず「素材の種類を極限まで減らす事」によって素材別の分別が少なくなる為、作業工程が大幅に削減できます。
そしてそれが可能になったとしても、そもそも利用者の手元にある靴をアシックスに戻ってこないと意味がありません。
いくら素材の種類を極限まで減らしても、利用者が廃棄してしまったら、せっかくの苦労も水の泡です。

その為、回収スキームも工夫しています。

  1.  シューズのタンに集荷用のQRコードを印字
  2.  2,000円分のOneASICSポイントを進呈
  3.  テラサイクルによる集荷スキームに活用

です。

ランニングシューズにはいろいろな価値が潜んでいます。
履きやすさだったり、安全性だったり、耐久性だったり。
そしてスポーツシューズであれば、その靴を履く事によって個人の記録をサポートするというが必要になってきます。

一方で、冒頭にあったとおり、世界で年間224億足という靴が作られ、95%が廃棄されるという現実もあります。
それをどうにか変えていきたい。

その思いを実現するにはどうしたらよいか。

靴を長く使うという意味では「修理して使い続ける」という選択肢もあります。
しかし、ランニングシューズは修理して使い続けると安全性が棄損されてしまいます。

では、どうしたらよいか。
修理して使い続けるのではなく、履きつぶしたらリサイクルできるようにする。

お客さまへの提供価値と、社会的価値を生み出す事をとても上手く両立させた事例だと思います。

投稿者プロフィール

菱木 信介
菱木 信介
外資系大手コンサルティングファームにて経営・IT・業務に関するコンサルティングを行い、生命保険会社にて経営企画部長を従事、Fintechベンチャー起業・経営を経て、「サステナビリティを1歩でも前進させたい」というパーパスを具現化すべくCircular Economy Thinking合同会社を起業。これまで培った経営コンサルティング経験、起業経験・経営経験を活かし、Circular Economy実践の為の活動を行っている。他にもCXコンサルティングやエグゼクティブコーチングも行う。