東京都の新築住宅等に設置義務となる条例の施行があと3ヶ月となりました。(2025年4月~)
森林伐採をしたり等の環境破壊をしない中での積極的な太陽光パネル設置は良いと思いますが、
それと同時にそれに伴う"未来"も考えておかないと・・・です。

太陽光パネルは、3つの環境系テーマで考える事の出来る良いコンテンツです。
3つの環境系テーマとは「脱炭素」「生物多様性」「循環型経済」です。

  • 1つ目の「脱炭素」は主目的ですね。通常化石燃料を使うとCO2排出量が増加する為、それを防ぐ為に導入されます。
  • 2つ目の「生物多様性」は太陽光パネルでよく問題になる「森林を切り拓いて太陽光パネルを設置する」というやつです。「脱炭素」文脈では良いのですが「生物多様性」文脈ではNGとなります。
  • 3つ目の「循環型経済」、つまりサーキュラーエコノミーですが、これはまだまだ考慮されてないまま検討が進んでいるようにも思います。

現状の太陽光パネルは「リニアエコノミー」型のビジネスモデルです。
大量生産・大量廃棄。つまり沢山設置するという事は、あとで必ず沢山廃棄するという事になります。
化石燃料を使わずにエネルギーが作れるし、生物多様性を考慮して住宅に設置する。ここまではいいのですが、その太陽光パネルを創る為に、バージンマテリアルを発掘して製造し、使い終わったら、廃棄物として捨てる・・・。
現状の太陽光パネルはこんな状態です。

太陽光パネルは耐用年数は25年程度だそうです。つまり25年後には「廃棄」というイベントがやってきます
そこをどうしたものか・・・というの現状予測できる未来の課題です。

でも、そんな太陽光パネルを最大99%リサイクルできる技術を開発したスタートアップがイタリアにあります。9-Techという企業です。

9-Techの特徴は、

  • 銀の90%、シリコンの95%、銅の99%を回収できる
  • 通常、上記のような資源を回収するには有毒化学物質の使用や有毒ガスの発生がつきものなのですが、それが発生しない

というものです。

回収できたこれらの資源を次のプロダクトの材料にする事で、バージンマテリアルの大量使用を防ぐ事が出来るようになります。

太陽光パネルの設置はこれからどんどん増えていきます。
そして、「リサイクル」というのはサーキュラーエコノミーとしては、最終手段の1歩手前のソリューションです。
(最終手段は、燃やして熱エネルギーで回収・・・)

つまり、もっと手前のサーキュラーエコノミー的に良いソリューションが潜んでいます
そこにフォーカスすれば、新しいビジネスで事業拡大が可能かもしれません。

投稿者プロフィール

菱木 信介
菱木 信介
外資系大手コンサルティングファームにて経営・IT・業務に関するコンサルティングを行い、生命保険会社にて経営企画部長を従事、Fintechベンチャー起業・経営を経て、「サステナビリティを1歩でも前進させたい」というパーパスを具現化すべくCircular Economy Thinking合同会社を起業。これまで培った経営コンサルティング経験、起業経験・経営経験を活かし、Circular Economy実践の為の活動を行っている。他にもCXコンサルティングやエグゼクティブコーチングも行う。